む、あれは鳩か。
鳥は大空を飛びまわる姿から
自由に生きているように言われることもあるが、どうだろうか。
彼らには彼らなりの不自由もあるはずだろう。
どんなに柔軟な身体の猫だって、自分のうしろ頭の模様は見れないものさ。

風邪が流行っているな。

寒いなら私のように毛もじゃらのスーツを着ればよいのだ。
はんずで売っているぞ。

なに、人間のハンズには売っていないだと。それは本当か？

そう難しく考えることはないさ。
出会いと別れは古い友のようなもの。
今そばにあるものの大切さを忘れずに、明日への糧へとすればいい。

……泣いてはいない。あくびしただけさ。

今夜は風が強いな。
温泉流れる管のそばで、うずくまって寝ていた頃を思い出す。
あの老婦人が私を忘れても、風避けと古着を貰った恩は忘れない。
寒い夜は誰かと一緒に寝る。
それはあなたたちと暮らしたことで学んだことだ。

いつかあなたにも、わかる日がくるさ。
眠れぬ夜に過ごした時間も、大切なひと時だったと。